こちらの記事では、学習eポータルについて紹介しています。どのようなシステムなのか、また具体的に各システムの特徴などをまとめています。さらに、MEXCBT(メクビット)の概要にも触れていますので、参考にしてみてください。
「学習eポータル」とは、「日本の初等中等教育(学校教育)に適した共通で必要な学習管理機能を備えたソフトウェアシステム」と文部科学省で定義されているものです。このシステムの全体像・技術仕様については「学習eポータル標準モデル」にまとめられて公開されています。
この学習eポータル標準モデルに基づいて設計されたソフトウェアはクラウド上で動作するため、それぞれの学校でサーバを用意する、1台1台にインストールする、といった手間は不要です。
学習eポータルは、初期段階では文部科学省が運営する「MEXCBT(メクビット)」への接続が主な役割となっていますが、例えばシングルサインオンやスケジュール・教材など一括管理、進学時や転校時におけるスタディ・ログデータの引き継ぎ機能、アカウントの年度更新の負担軽減、学校外での学習状況を教員が把握できる機能、スタディ・ログの集約と学習状況の見える化など、順次機能が拡充されていく予定となっています。
学習eポータルには、下記の3つの機能が搭載されます。
デジタル教科書やデジタル教材など、さまざまな学習リソースと互換性を持つデータを学習eポータルに置いて一覧的に可視化して活用できる機能。この機能により、生徒それぞれに合った学び、協働的な学びにつなげられます。
シングルサインオンなどの実現によりアクセスに関する負担を軽減し、学習リソースを利活用する際の連携のハブとしての機能。この機能により、利用者にとっての利便性が向上するとともに、デジタル教材等の事業者がそれぞれのソフトごとに連携する手間を省けます。
文部科学省が運用する公的CBTプラットフォームであるMEXCBT(メクビット)にアクセスする機能を持ちます。
学習eポータルは、2023年3月の時点では主に8製品が提供されています。標準化された部分に関する機能は共通となっているものの、それ以外の機能や画面のデザインなどについては、各社により設計が行われています。
ここでは、それぞれの製品の特徴や無料で使える教材、おすすめポイント、導入事例、提供する会社の情報などをまとめていますので、チェックしてみてはいかがでしょうか。学習eポータルを選択する際の参考にしてみてください。
ここでは、株式会社内田洋行によって提供されている「L-gate」を紹介します。
L-gateは「学校現場での使いやすさ」に重点を置き、児童生徒や教職員など幅広くサポートするシステムです。マルチOSに対応し、GIGAスクール構想で導入された端末全てで利用が可能。利用者管理機能やシングルサインオンのほか、日々の学びをサポートするさまざまな機能を搭載しています。
L-gateでは、さまざまなコンテンツ・アプリケーションの利用を想定している点がポイント。すでに導入しているデジタル教材を登録して使用したり、Microsoft TeamsやGoogle Classroomなどのアプリケーションも登録済みのクラス情報と連携できます。
埼玉県鴻巣市教育委員会では、L-gateを導入しています。導入により認証情報が引き継がれ、各サービスへのログインが不要になって先生・生徒のユーザビリティが向上する点、さらに先生の業務効率向上につながるアカウント運用管理機能などを高く評価したことなどが、導入の決め手となったとしています。
NECが提供するOpen Platform for Educationについて紹介します。
デジタル教科書接続サービスやAI英会話サービス、プログラミング教材サービスなど、新しい学び方をサポートする機能を備えたOPE(Open Platform for Education)。それぞれの児童が自分だけの机を持ったかのようなデザインを取り入れています。また、教育現場での活用方法や操作方法をサポートするためのICT研修サポートを実施する点も特徴といえるでしょう。
1人1台の運用をサポートする、ICT支援員によるヘルプデスクを設置。電話やメール、リモートサポートやチャットボットなど、多彩な方法によってユーザーの問題解決に取り組みます。さらに、運用保守に関しても、自治体などにおける経験を持つSEにより、教育環境をサポートする体制が整えられている点もポイントのひとつです。
公式HPに掲載なし
NTTコミュニケーションズが提供するまなびポケットを紹介します。
まなびポケットでは、プラットフォーム上にある各社が提供するコンテンツに加えて、NTTコミュニケーションズが提供するコミュニケーション機能を利用できます。シングルサインオン機能、学習履歴管理、ユーザー情報管理など、生徒・先生・IT管理者それぞれにとって嬉しい機能を備えています。
まなびポケットを申し込むと、6つの機能を提供するポータルを無料で利用することが可能。ここで提供する機能は、個別メッセージ機能、ファイル共有機能、課題提出機能、お知らせ機能、クイズ・アンケート機能・学習ログ機能となっています。
宇都宮市教育委員会では、学びポケットとGIGAスクールパックを2020年度から導入。UIがわかりやすく、低学年でも使いやすいという点が導入の決め手のひとつとなっています。
導入後は、「授業の振り返り」の機能が特に有効活用されており、ICTを活用して児童同士が授業で学んだことに対してお互いが感想を送り合ったりするなど、クラス全体での共有により授業が活性化するという変化が感じられています。
スタディプラスにより提供されているStudyplus for Schoolを紹介します。
生徒と先生のコミュニケーションをサポートし、「生徒を褒める機会を増やす」ことができる点が特徴のひとつ。教科書や参考書の学習記録など学習に関する情報をデジタル化したり、学習時間などをビジュアル化、生徒の変化を知らせるアシスタントメッセージ機能やメッセージのやりとりができる機能などを用意しています。
集団塾や個別指導塾といったさまざまな形態の塾のほか、学校法人や英会話スクールなど幅広い場面で利用できるツールとなっています。1ヶ月間の無料トライアルを用意しているため、導入検討時にはお試しで利用できます。
学習塾である出町アカデミーでは、中学3年生以上の20名に対してStudyplus for Schoolを導入しています。導入の目的は、自宅学習のフォローのため。管理画面の見やすさやスマートフォンのビジュアルの良さも導入を決めた理由のひとつとなっています。
導入によって、生徒へのフィードバックのタイミングを柔軟に対応できること、生徒の努力を認められる評価項目が増えたこと、そして数字をもとに話をして学習のサポートができるようになったといった運営の変化が生まれています。
COMPASSにより提供されているQubenaについて紹介します。
小1〜中3の「算数・数学」「英語」「国語」「理科」「社会」がひとつにまとまったAI型教材。AIがそれぞれの児童・生徒が問題を間違った原因を解析し、ひとりひとりに合わせて問題を出題できるシステムとなっています。基礎から応用までさまざまなレベルに合わせた学習が行えることが特徴です。
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Qubenaは学習進度や学力のレベルに応じた内容で、プリントのようにQubena上で問題を作成して生徒に配信することが可能。学習進度や理解度などをすぐに把握できるといったように、先生のサポートも行えます。また、学習データは専用管理システムにより収集・分析を行うことができ、きめ細かな学習指導に繋げられます。
戸田市教育委員会では、Qubenaの導入により授業の復習や演習問題、授業の後半での定着度の確認などに使用しています。Qubenaを使用することによって、より多くの問題に取り組めるようになったり、生徒の問題の取り組み方が良くなったなどの変化がありました。また、教師が生徒の学習状況を確認した上でより声がけができるようになっています。
文部科学省が開発したMEXCBTとの連携機能のほか、各種教材との連携機能、学校管理者機能を搭載する学習eポータルです。シンプルで直感的に使えるデザインのため、教師・生徒・児童の誰もが簡単に使いこなせます。今後も利便性の高い機能が随時追加される予定です。
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みらeポータルは、人による手厚いサポートが受けられるのが特徴です。デジタルツールに慣れていない教師でもみらeポータルが使いこなせるよう、問い合わせや登録サポートなどは全て人が行っています。
公式HPに記載なし
R-StationはMEXCBTやデジタル教科書などと連携し、ICT技術を取り入れた個別学習・協業学習を提供する教育業界向けのプラットフォームです。両備システムズが提供している「保護者連絡システム」や「RYOBI-校支援」などとも連携できます。
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保護者連絡システム・RYOBI-校支援と連携させることで、データをもとに見守りが必要な生徒・児童を見つけ、アラートでお知らせしてくれます。学力低下を未然に防ぐために、必要な学習支援ができるようサポートしてくれるのがポイントです。
公式HPに記載なし
MEXCBTや23年度全国学力学習状況調査に対応し、学習eポータル標準モデルに準拠した教育業界向け学習支援サービスです。現場の声を取り入れ、子どもたちに適切な学習支援や、心のサポートを行えるほか、授業改善にも役立てることができます。
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子どもたち一人ひとりの学習履歴をAIが分析し、個別学習に最適な課題を提案してくれます。ドリルとの紐付けが可能で、必要な教科・単元を効率的に学習できるのが特徴です。また、子どもがログイン時に気持ちを登録できるようになっており、精神面のサポートもスムーズにできます。
鳥栖小学校では、理科の実験予想や結果発表にtomoLinksを活用しています。各グループがtomoLinksを使って記入したワークシートを電子黒板で共有することで、従来紙のワークシートの配布や回収にかかっていた時間を、考える時間・実験の時間に使えるようになりました。より活発な意見交換や、正確な指導が可能になっています。
児童や生徒の学習を支援するためのベネッセグループの学習eポータルになります。オンライン上でMEXCBTなどを利用して学習を進めることができるのが特徴です。
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文部科学省が開発しました「CBTシステム」に対応しており問題を学年やクラスに一斉配信することができます。また学習結果やアクセス履歴も管理することができるため、学校の先生には是非お使いいただきたいです。
公式HPに記載なし
スクールライフノートは、ココロの学びを記録し振り返ることができる支援システムになります。 朝や帰りに今の気持ちを天気にたとえて登録し振り返ることで、「非認知スキル」を向上させることができます。 また先生方は子供の気持ちや変化を把握することができるので、声掛けや支援が必要なタイミングを発見することが可能です。
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子供たちが日々の生活や学校生活のさまざまなことを記録し「気づき」を可視化することができます。 操作方法も簡単なため、安心して使用することができます。 授業の中でも振り返りとして使用できるため、おすすめです。
公式HPに記載なし
「MEXCBT(メクビット)」とは、文部科学省によって開発されたオンライン学習システムです。MEXCBT(メクビット)はインターネット環境さえあればどこからでもアクセス可能となっており、希望する小学校・中学校・高校であれば無償で利用できます。そのため、学校での利用はもちろん、家庭からも利用可能です。
この「MEXCBT(メクビット)」は文部科学省を指す「MEXT(Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology)」と、コンピュータを用いて試験を行うシステムを表す「CBT(Computer Based Testing)」を組み合わせた名称となっています。
MEXCBT(メクビット)では、国や地方自治体など公的機関が作成した問題を格納しているため、児童・生徒はこれらの問題を用いて学習を進められる点が特徴。短答式問題の場合は自動採点が行われるため、すぐに自分の学習結果が確認できます。さらに、クラス内の他の生徒の学習結果についても確認が可能です。
このMEXCBT(メクビット)を利用するためには、本ページでご紹介してきた学習eポータルにログインし、MEXCBT(メクビット)にアクセスする必要があります。
ICT教育を推進するうえで重要なのは、どのポイントに焦点を当てるかです。
文部科学省が教育を推進しているのが、下記の3つになります。
今後ますます求められるのが、情報社会を生きるために必要な知識や考え方のベースとなる情報モラル、問題解決力を養う情報活用能力。そして問題解決力を養うためのプログラミング。自分のお子様、あるいは抱えている生徒のどの部分を育てていきたいかを考えながら選ぶことが大事です。下記に「基本操作・情報モラル」「問題解決・探究力」「プログラミング」が学べるツールを紹介しています。