文部科学省が推進している「GIGAスクール構想」。「どんな取り組みなのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。ここで紹介する、メリットやデメリットを理解して、基礎知識を身に着けましょう。
GIGAスクール構想とは、児童生徒が1人1台、タブレット端末やコンピュータなどの情報端末を活用できるようになることを目指す、文部科学省の取り組みのことです。 ICT技術が発達し、教育現場でも活用が求められるようになったことを受け、2019年から開始されました。「ソフトの充実」、「ICT環境の整備」、「指導体制の強化」の3つを土台に構想が進められています。
GIGAスクール構想は、急速な拡大をみせています。ICT市場調査コンサルティングのMM総研のアンケートによると、2021年8月の時点で、学習端末を配布・利用を開始した児童生徒は63%に達したことが分かりました。
利用場面は、授業中が多くを占めていますが、毎日ではなく週に2、3回ほどの使用が多いようです。また、家庭での使用率は低く、使用は授業中にとどまっています。
1人1台端末を使用することで、インターネットを利用した調べ学習が簡単にできるようになるなど、従来の授業ではできなかったことが実現可能になります。プログラムを書く、動画や写真の編集・加工を組み込んだプレゼンテーションを実施するなど、授業の幅が広がり、情報化社会で必要となるスキルを磨けます。
データで情報をやり取りできるようになり、情報共有がスムーズになることもメリットの一つです。成績の公開や連絡事項、課題の提出など、口頭や印刷物で行うことで、情報が伝わりにくかったり、紛失が起きたりしてしまうことも。データで管理できるようになるため、履歴が残り、より確実に情報共有ができるようになります。
タブレットやパソコンを使用するようになると、手書きによる学習機会が減少し、手書き学習の効果が得られなくなる可能性があります。
鉛筆を使い、繰り返し書くことで記憶の定着や理解力向上などが望めます。さらに、脳の活性化にも有効だと言われるなど、手書きには様々なメリットがあるのです。これから情報機器の使用機会がますます増加し、手書きによって得られる利点は少なくなっていくでしょう。
タブレット端末やコンピュータに接する時間が長くなることで、SNSトラブルのリスクが増加するのではないかという心配の声も上がっています。
いじめや依存症、誘拐などの犯罪に巻き込まれるなどSNSには危険もたくさん。教員が全ての利用状況を把握できるわけではないため、情報に関する知識が浅いと、トラブルのリスクが高まる可能性もあります。
GIGAスクール構想では1人1台の端末配布を目標としているため、クラス単位ではなく全校生徒が同時にインターネットが使える環境整備が必要になります。
ネットワーク環境が整っていないと、Wi-fi通信が切れたり、遅くなったりして授業に支障が出ることも。今後は、教室だけでなく体育館など、校内のどこからでもLANに接続できるようにすることも求められます。
学習用PCは、利用したいソフトウェアに対応しているか、通信ネットワーク環境に問題がないかなど、総合的に判断して導入する必要があります。
選ぶ際には文部科学省が公開している、学習者用PCの標準仕様書を参考にするといいでしょう。それぞれの学校や自治体の予算やカリキュラムに合った、PCの選定が教育の充実につながります。
GIGAスクール構想では、学習ツールや校務システムのクラウド化を推奨しています。協働学習やファイル共有など、学習を支援するクラウド型アプリケーションも多数存在するので、積極的な活用を考えましょう。
校務システムに関しては、文部科学省が教務や学校事務を一括管理する「統合型校務支援システム」の導入を進めています。クラウド利用により、教員の負担軽減や業務効率化が期待できます。
GIGAスクール構想では「ICTを活用した学習活動の充実」という項目が、学習指導要領に組み込まれています。
今後は、PCの基本操作の理解はもちろん、プログラミングや画像や動画の活用方法などの学習が求められるようになります。これらのICTを活用した指導のためには、学習ツールの効果や使いやすさなどを検討し、導入後も改善を重ねていくことが重要です。
下記では、GIGAスクール構想の現状とこれからについて、授業におススメのツールや解決していく課題について紹介します。
ICT教育を導入・運用をするにあたって、教師に負担がかかってしまう可能性も。ここでは、ICT活用の際に必要になる校務や、負担減少のための方法を紹介します。
文部科学省が推進する、「GIGAスクール構想」。このページでは、GIGAスクール構想のメリット・デメリット、実現する上で必要なことなどを詳しく解説します。
GIGAスクール構想と情報モラル教育について、実際に行われた3つの授業を紹介しています。教育事例を見て、情報モラル教育のイメージをつかみましょう。
ICT教育を推進するうえで重要なのは、どのポイントに焦点を当てるかです。
文部科学省が教育を推進しているのが、下記の3つになります。
今後ますます求められるのが、情報社会を生きるために必要な知識や考え方のベースとなる情報モラル、問題解決力を養う情報活用能力。そして問題解決力を養うためのプログラミング。自分のお子様、あるいは抱えている生徒のどの部分を育てていきたいかを考えながら選ぶことが大事です。下記に「基本操作・情報モラル」「問題解決・探究力」「プログラミング」が学べるツールを紹介しています。